探偵うんちく「ドランブイ」_六本木探偵バーANSWER

ドランブイ(Drambuie)

本当だったら世に出回ることのなかったお酒。
ある一部の人間にしか飲まれていなかった、格別なお酒。
それは「ドランブイ」というリキュール。
その味を知っている人は、今後もぜひ飲んで欲しい。
そして、まだその味に触れた事のない人は、一度は飲んでもらいたい。そんなスコットランド生まれのリキュールです。
気になるのは冒頭の「本当だったら世に出回ることのなかった」というフレーズ。
これはいったいどういうことか。
少々難しい話になるが、イギリス名誉革命まで時代はさかのぼる。
名誉革命とは、ステュアート朝のイングランド王ジェームズ2世が、その王位から追放されたという事件だ。
それが1688年から1689年にかけての出来事。
時は流れ1745年、ステュアート王室の末裔である、チャールズ・エドワード・ステュワートがその王権の奪還に向けて立ち上がったのである。
ところが、倍近い相手の勢力にあっけなく敗北となってしまう。そこからチャールズの5ヶ月にも及ぶ逃亡生活が始まる。
どこで政府軍が網を張っているか分からない。毎日が落ち着かない日々の連続であった。
そこで生き残ったチャールズ一行は、一度イギリス本土を離れるという策を取る。
味方であるフランス艦が再び救出に訪れるまでの間、身を隠そうと考えたのである。
それと同時に、このドランブイの誕生秘話が始まる。
チャールズは女装しながらも、イギリス本土からヘブリディーズ諸島を経て、スカイ島まで逃れることに成功。
スカイ島ではエルゴールという地で数日間を過ごす事になる。
チャールズらはここである父子と出会い、匿われることになった。その父子の名はマッキノン。
わずか数日間ではあったが、マッキノン父子はチャールズらを庇護し、付き添ったのである。
どこから狙われるか分からない状況で、その土地に詳しいマッキノン父子が付いていてくれたことは、チャールズにとって非常に心強かった。
その数日後、無傷でイギリス本土に戻ったチャールズ一行は停泊していたフランス艦に保護され、フランスへ向かうことができた。
チャールズはマッキノンと過ごしている短い間、その感謝の意を込めてステュアート王室に代々伝わるハーブを使った薬酒のレシピを渡したと言われている。
このレシピこそが、ドランブイの味の元となった秘密のレシピなのである。
しかし、そのレシピが書かれたメモはしばらくのあいだ眠ることになる。その間、何人かのマッキノン家の関係者の手に渡ることとなった。
100年以上の歳月が経過した1880年頃、やがてブロードフォードホテルを経営していたジェームス・ロスが、このレシピを見てリキュールの試作を開始した。
もともとのレシピではブランデーにより構成されていたものをウィスキーに変更するなど、多くの試作が繰り返されたという。
そこで出来上がったリキュールを友人達を招いた試飲会で披露。
これを飲んだ人々は一斉に「アン・ドラム・ビュイ」と絶賛したのだ。これはゲール語で「満足のいく酒」という意味。
こうして、このリキュールの名前は「ドランブイ」として広まり、やがて世界へと送り出されることになったのである。
チャールズの敗戦、スカイ島を経由しての逃亡、マッキノン父子との出会い。
これらの歴史がなければ、このドランブイというリキュールは世に知られることはなかったかもしれない。
一部の貴族で飲まれていたハーブと蜜の甘い薬酒の生まれ変わり、ドランブイ。
これをベースにした「ラスティーネイル」というカクテルも、ぜひ一度は楽しんでいただきたい。

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