ウイスキーは本当に奥が深い。
ウイスキーを知ろうとすればするほど、自分の知らないことが一つ、また一つと出てきます。
そうして気づけば「もっと知りたい」とウイスキーの歴史を紐解いていってしまう。
ウイスキーを簡単に説明すれば、蒸留酒の一つ。
大麦、ライ麦、トウモロコシなどの穀物を麦芽の酵素で糖化し、発酵させて蒸留させたものとなります。
ウイスキーについて簡単に説明すると以上です。非常に簡潔。
なのにその一つ一つを知ろうとすると、底なし沼にはまってしまうような感覚になります。
何しろウイスキーは、ゲール語で「uisce beatha(=命の水)」の意味に由来するほど、昔から多くの人たちに愛されてきた、人生で無くてはならないもの。
だからこそウイスキーの種類は多岐に渡り、その一つ一つ全て、ウイスキーを愛する多くの人たちによって大切に受け継がれてきました。
先ほどから「ウイスキー」と安易に書いてしまってるけど、人によっては「ウィスキー」、「ウヰスキー」、「ウ井スキー」と表記する人も居ます。
さらに言うなら「スコッチ・ウイスキー」は「Whisky」、「アイリッシュ・ウイスキー」は「Whiskey」と表記されています。
呼び方ひとつで、こんなにも種類がある。
どれだけ多くの人たちに誇りを持って愛されてきたのか分かるってもんです。
ただしこれだけ愛されていても、ウイスキーがいつ、どこでどのようにつくられたのか、はっきりとは分かっていません。
歴史上初めて文献に登場したのは1405年のアイルランド。
この時にはすでに修道士たちによって製造されており、実際には数百年前からあったと考えられています。
そもそも蒸留アルコールが製造されたのは8~9世紀頃で、場所は中東。
その後、蒸留の技術がキリスト教の修道士らによってアイルランドやイギリスに伝わったとされています。
1171年、ヘンリー2世がアイルランドに侵攻した際の記録には、住民が「アスキボー」という蒸留酒を飲んでいたとされ、それが「ウイスキー」の語源となったという説もあります。
錬金術師がたまたま発明したという説もありますが、この頃の記録が無かったり曖昧なものが多いようで、はっきりとは分かっていません。
むしろ、そうしたミステリアスな部分があるのも良いという人も居ます。
自分にとってどの起源が一番胸に響くのか、ロマンチックか。
時と場所と、そして誰にうんちくを語るのか、そうしたTPOに合わせてスマートにウイスキーを語れるのも魅力の一つなのです。
また、ウイスキーはアルコールなので当然成人してから飲むものですが、それでも「少し上級な大人の飲み物」と考えている人、少なくないのではないでしょうか?
理由はいろいろあると思いますが、人によってはとっつきにくいような独特の香りや味のせいもあるかもしれません。
あるいはウイスキーを飲み出すとよく耳にするようになる「シングルモルト」「スコッチ」「ピート香が…」と専門用語が多くて、とっつきにくいと感じる人もいるのかもしれません。
ただその反面、そうした「とっつきにくさ」があるからこそ、ウイスキーに魅力を感じる人も多いのです。
今年のお酒コラムは、そんなウイスキーについて、飲み始めてみたいけど何から始めてみればいいのか分からないという人や、飲み始めたばかりでウイスキーについていろんなことを知りたい!という方など、「ウイスキー初めまして」の方向けに書いてみようと思っています。
なんにせよ、アルコールは今も昔も、辛い社会という大海原を戦い抜く大人にとってなくてはならないもの。
それに神様への貢物や儀式に使われたり(修道士が伝えてきたわけですからそりゃそうなのかもしれないけれど)。
何かと大切に慎重に扱われてきています。
それは今も当然そうで、昔から大切に大切に飲まれてきたお酒の歴史を今改めて知って、そうした歴史を感じながら飲むのもまたオツだと思うわけです。
ちなみにお酒と神道との繋がりの話、ウイスキーにももちろんあります。
ウイスキーを樽で寝かせて熟成していると、当然時と共に、ウイスキーは少しずつ蒸発していきます。
この蒸発の事を、「エンジェルシェア(天使の分け前)」と呼ばれています。
天使に少しお酒をあげることで、ウイスキーをより美味しく仕上げてもらえますように…なんて意味があるのか分かりませんが、一つ一つのお酒の一挙手一投足に可愛らしい名前がついているなんて思うと、とても微笑ましい。
作り手の愛情がたっぷりと伝わってきます。
探偵バーは、今年に入ってウイスキーの量を少し増やす計画を立てています。
ウイスキーの魅力をたくさん知ってもらって、六本木でお酒のうんちくを語り合う。
もしくは新たに仕入れた話を共有したりしながら、お酒を楽しむ。
そうした楽しみ方を探偵バーでしていただければと思っております。
次回はウイスキーの種類の話でも。
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