探偵うんちく「シーバスリーガル」_六本木探偵バーANSWER

シーバスリーガル(chivas regal)

BARに行けば馴染みの深いブレンデッドウィスキー「シーバスリーガル」
非常に飲みやすく、どこのBARにでもあるウィスキーだが、これを味わう上でひとつ知っておいてもらいたいスコッチがある。
それは「ストラスアイラ」というシングルモルト。
銘柄に「アイラ」という文字が付くが、アイラ島で作られる、あのピートの効いたモルトではない。
ここでいう「アイラ」とは、アイラ川をさす。
実はハイランド地方には2つのアイラ川が存在する。
ひとつはスペイサイド地域を流れ、この土地のメインリバーともいえるデブロン川へと注ぐ小さな川。
そしてもうひとつは、ハイランド地方南部を流れ、テイ川へと通ずるアイラ川。
南部の方が川としては大きく長距離に渡っており、壮大な自然の中を流れる川としては魅力高いが、 このストラスアイラの名前となっているのは前者にあるスペイサイドの方だ。
「ストラス」とは広い谷間という意味。
つまり、このスコッチの名は「アイラ川が流れる広い谷間」となる。
ここは数あるスペイサイド地方の蒸溜所の中では現存する最も古い場所だ。
その始まりは1786年までさかのぼり歴史も長い。
当時はミルタウン蒸溜所としてスタート。
以降、ストラスアイラ蒸溜所を名乗ることになるが、所有者が何度が変わっていることで、いったんその名前から離れることとなる。
工場の町という意味を持つ「ミルトン蒸溜所」として、しばらくの間定着したのである。
その後、シーバスブラザーズで名高いシーバス社がこの蒸溜所を買い入れ、あの「シーバスリーガル」のキーモルトとなったのだ。
1970年にはシーバス社がシーグラム社の傘下に入ったのと同時に、ミルトン蒸溜所からストラスアイラ蒸溜所へと正式に改名されたのである。
ちなみに、製品名としては創業当初から「ストラスアイラ」の名前が使われていた。
ここはスペイサイド最古の蒸溜所なだけに、その味わいは奥深い。
味の決め手となる要素は主に2つ。昔ながらの製法と、仕込み水である。

まずはその製法。
ここストラスアイラ蒸溜所では古い製法を守り続けてきた。
特に発酵の過程で用いるウォッシュバック。つまり発酵槽のことだ。
粉砕された麦芽は、温水にした仕込み水と混ざりながら糖化していく。
こうして出来上がったウォートをウォッシュバックに移し酵母を加える。
やがて発酵が始まり、70時間程度で最終的に7%~8%のアルコールになる。
ストラスアイラではこの発酵の段階で、木製ウォッシュバックを使用している。
木製ウォッシュバックを使用する利点としては、保温性に優れているということ。
これにより酵母菌の活動が活発になり、発酵しやすくなるのだ。
加えて木製ウォッシュバックには、天然の乳酸菌も住み着きやすく、これもまた発酵には欠かせない。
木の特性が、発酵時に発生する炭酸ガスや振動を吸収してくれるという効果もプラスに働いている。
振動は発酵に良くないとされ、これを抑えてくれる機能は大きい。
好条件のもと発酵されることで、出来上がるもろみの香味は厚さを増していくのである。
これがストラスアイラの味の決め手にもなっていた。

ところが、この木製ウォッシュバックには欠点もある。
それは、後からの温度管理である。
確かに保温性に優れてはいるが、常に一定というわけではない。
温度が変わり始めてからの調整が難しいのである。
さらに、メンテナンスにも気を使う。
ウィスキー作りで使用するウォッシュバックの種類は主に2種類で、木製の他にはステンレス製がある。
ステンレス製は木製に比べ、温度管理も容易でメンテナンスにも長けている。
ステンレス製ウォッシュバックの清掃にかける時間はおおよそ1時間であるのに対して、木製は1日がかり。
使用しない期間は、木の乾燥を防ぐため水を張るなどの手間も必要になってくる。
それでも、出来上がるウィスキーの味に深みを出すため、ここストラスアイラでも近年まで木製ウォッシュバックを使用してきた。
しかし、残念なことに1990年代後半、ついにステンレス製ウォッシュバックの導入となってしまった。

とはいえ、未だ昔ながらの味は守られていると言って良い。
何故なら、もうひとつの重要な要素である、仕込み水に変わりはないからである。
発酵前のウォートを作り上げる段階で必要になる仕込み水だが、ここで使う水がウィスキーの味を左右すると言っても過言ではない。
ストラスアイラで使用している仕込み水の一部は、ブルームヒルにある「フォンズ ブイエン」という古い泉の湧水。
この泉には伝説がある。
その昔、泉はケルトの妖精ケルピーに守られていると信じられていた。
ケルピーは馬の姿をしていて、人がこの泉に近づこうとすると水の中へ引き込まれてしまったという。ゲール語で「フォンズ ブイエン」とは泡立つ泉という意味。
人が引き込まれるときに泡が立つ事から、この名がつけられたのかもしれない。
話しが少し反れてしまったが、肝心なのはこの泉の水質だ。
カルシウムを多く含む中軟水の仕込み水によって、このウィスキーに独特の柔らかさが生まれてくるのだ。
昔ながらの製法と、妖精によって守られてきた仕込み水のおかげで、ストラスアイラの味は今も変わらず維持できている。

このキーモルトを使ったブレンデットウィスキー「シーバスリーガル」
原酒の味がしっかりと確立されているからこそ、ここまで安定したブレンデットが出来上がったのではないだろうか。
カクテルにおいても、シーバスリーガルは欠かせない素材となる。
機会があれば、ぜひ原酒であるストラスアイラも味わってみてもらいたい。
きっと、今まで以上にシーバスリーガルのファンになること間違いなしだ。

余談ではあるが、ストラスアイラ蒸溜所には、ディジー(dizzy)という猫が住み着いていたという。アメリカケンタッキー洲から船便でバーボン樽を運ぶ際に、その樽の中に紛れ込んでいた猫らしい。
約4週間もの間、樽の中に閉じ込められていた猫は、すっかりバーボンの香りに酔ってしまい、フラついていたという。
そこで名付けられた名前が「頭がクラクラする」という意味のディジーというわけだ。
以降、ストラスアイラ蒸溜所の名物猫として、この地を訪れる観光客の注目を集めるが、今も存在するかは分からない。
現地に行くことがあれば、そんなエピソードも思い出して欲しい。

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